小説「言葉屋」は言葉の大切さを教えてくれる

Kindle Unlimitedに上がっていた「言葉屋」という児童小説を読みました。
言葉屋とは、言葉をただの武器ではなく、心をつなぐ橋にする仕事。
言葉を口にする勇気を与える言珠と言葉を口にしない勇気を与える言箱を扱っている。
小学生の女の子・詠子が言葉屋を目指そうと奮闘する物語です。

かわいらしいイラストだなと思いながら読み始めると、
心が満たされるような言葉がたくさん載っていました。
文字を読んでいるだけで幸せになります。
こういう感覚になったのは久しぶりです。

仕草に関する表現がとても豊かで読んでいるだけで心がわくわくします。
例えばこんな感じです。

しぃちゃんの声はぴょんと跳ねて、詠子の耳にまっすぐに落ちた
詠子が、うん、とうなずくと、
しぃちゃんの広角は、まるで太陽に向かってのびていくようにぐんと上がる。

しぃちゃんの顔にようやく表情の波がもどってきた
そのまま、その波にざぶんと飲まれてしまったかのように
しぃちゃんは、ははっと軽快な声で笑い出す。

しぃちゃんはぱかっとスイカが割れたように大きな口を開いて笑う。

読み終わった後から知ったことだけど、この小説は第5回朝日学生新聞社児童文学賞を受賞しています。児童小説だから豊かな表現が多いのかもしれないけれど、読んでいて気分がわくわく踊るような気持ちになった小説は久しぶりでした。こんな表現方法もあるんだなと勉強にもなりました。

それに「言葉屋」という題材もあって選ばれている言葉もやさしいものばかりです。
児童小説だからといって侮れませんね…。

良かったと感じたのは表現だからではありません。
内容も良かったです。
少し説教臭い箇所もありますが、気持ちが前向きになる内容です。

最後に心に残ったフレーズを残します。
こういう過程を経て受け取ったものはとてもうれしいものだろうと思います。

プレゼントは言葉といっしょ。
自分の中のイメージだけで選んではいけない。
あくまで、相手と自分の間にあるものであることを意識しなければならないのだ。
そう、前におばあちゃんから教わった。
かといって、相手に沿いすぎた言葉やプレゼントは、なんの出会いも生まない。
あくまで詠子から発せられ、
しぃちゃんの中で楽しくやさしく芽吹くことが
会話とプレゼントの最低必要条件だ。